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公式戦初戦 ルミナスが得たものとは

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群馬県女子サッカー選手権大会 兼 第47回関東女子サッカー選手権大会 群馬県予選 

◆2025年6月15日(日) 

◆太田市運動公園サッカー場 

◆ザスパ群馬ルミナス 0 – 1 前橋育英高校 

6月15日(日)、太田市運動公園サッカー場にて、群馬県女子サッカー選手権大会 兼 第47回関東女子サッカー選手権大会 群馬県予選の一戦が行われた。ザスパ群馬ルミナスにとっては、発足以来初の公式戦となる記念すべき試合であり、対戦相手は強豪・前橋育英高校。 

当初、天気予報では雨の予報が出ており試合運営やピッチコンディションが懸念されていたが、奇跡的とも言える晴天の中でキックオフを迎えることができた。朝の段階では雨が降っていたが、観客席にはサポーターたちが続々と集まり始め、キックオフ時には多くの人々がスタンドを埋めた。チームの初陣を見届けようとする熱気ある空気が、会場全体を包み込んだ。 

立ち上がりでは点を取れるチャンスもあったが、組織的守備が持ち味の前橋育英に対し、ルミナスの選手たちは冷静に対応し、前半は互いに譲らず両者無得点のまま終了。初の公式戦という状況にも関わらず、ルミナスの選手たちは緊張を押さえ、集中したプレーを貫いた。 

しかし後半、前橋育英がわずかなミスを突き、ルミナスはゴールを許してしまう。この1点が試合を決定づける形となり、その後もルミナスは果敢に反撃を試みるも、惜しくも負けという形になってしまった。 

ピッチには悔しさをにじませる選手、そしてその姿を見守りながら共に涙を流すサポーターの姿も印象的だった。それでも、会場には敗戦を悔やむ空気よりも、この初陣を戦い抜いた選手たちへの敬意と期待が満ちていた。スタンドからは大きな拍手が送られ、温かく選手たちを包み込んだ。 

試合終了後、ゼネラルマネージャーである三科真澄氏はサポーターの座るベンチに向かって、感情のこもった言葉を送った。 

「ルミナスの選手は本当に幸せ者だ。そして、私自身も幸せ者だと思っている。しかし、やはり勝負の世界。今日は負けてしまい、本当に悔しい。しかし、9月から再び公式戦が始まる。そのときには必ず“勝利”というプレゼントを皆さんに届けたい。だから絶対に、もう一度スタジアムに来てほしい」 

そう力強く語る三科氏は、敗戦の中にあっても、未来への希望を失わない。そして同時に、応援してくれた人々への誠意も忘れなかった。 

「今日は勝利を届けられず、本当に申し訳ないと思っている。でも、いちばん悔しいのは選手たち自身。どうか、そんな彼女たちに温かい声をかけてあげてほしい。試合に負けてしまい、それでファンが離れていってしまうことはとても寂しい。だからこそ、このスタートを“共に味わってほしい”。これからも一緒に歩んでいってほしい」 

三科GMのこの言葉に、チームへの深い愛情と、サポーターとの“絆”を大切にしたいという覚悟が表れていた。 

 

また、指揮を執った小林勉監督は、試合を終えた率直な思いを語った。 

「できれば無失点でいきたかった。公式戦だと周囲からは言われるが、自分たちとしては普段の練習試合と同じ意識で臨んでいた。ただ、やはり気持ちの部分では違うものがあった」と、初の公式戦における独特の緊張感を口にする。 

対戦相手となった前橋育英高校についても、「手がつけられないような相手というわけではなかった。むしろ、勝てる可能性は十分にあった」と悔しさをにじませた。 

「うちは基本的に仕事が終わった夜にナイター練習をしている。今週は雨続きでグラウンドもほとんど使えず、練習量は圧倒的に足りなかった。その影響か、足をつる選手も何人か出たし、交代要員の中にも負傷者がいて、最後は苦しい布陣だった」と、厳しいチーム事情も明かす。 

失点シーンについては、「崩されたわけではなく、自分たちのミスからだった」と分析し、「前半から得点のチャンスはあった。少ないチャンスをどう活かすかが勝負の分かれ道だった。今回はそれをモノにできなかった」と振り返った。 

次回の公式戦は9月に予定されており、過密なスケジュールの中での戦いが続く。 

小林監督は、今後に向けて明確な目標を掲げる。 

「次こそは無失点最多得点。そして記憶にも記録にも残る試合をしたい」 

選手たちの悔し涙と、スタンドから送られた温かい拍手。そのすべてを胸に、ザスパ群馬ルミナスは次なる舞台に向けて再び歩み始める。 

試合を終え、キャプテンの長澤優芽選手は「悔しい」という一言にすべての想いを込めた。 

公式戦初戦という節目の一戦での惜敗。その現実を真正面から受け止め、彼女は冷静に言葉を続けた。 

「この結果が、今の自分たちの実力だと思う。この負けをマイナスではなく、これからの糧としてプラスに変えていきたい」 

明確に見据えているのは、9月から始まるリーグ戦での目標だ。チームとして掲げているのは“無失点・最多得点”、そして“一部昇格”。その大きな目標に向けて、今回の敗戦をバネに変えていく覚悟がみえる。 

「今を大切にして、後悔しないように取り組んでいきたい。すべては来年につなげるために」 

その言葉には、敗戦にも負けない、強い芯のある意志と責任感が込められていた。彼女が率いるザスパ群馬ルミナスが、この悔しさを力に変え、どこまで成長していくのか。次の一歩に期待がかかる。 

ザスパ群馬ルミナスは、2024年に発足したばかりの新しいチームであり、この日がまさにチームとしての新たな歴史の第一歩となった。選手たちが見せた全力のプレーと、サポーターとともに作り上げた一体感は、結果以上に価値のあるものである。また、試合終了後、小林監督とゼネラルマネージャーの三科氏は、サポーター一人ひとりに感謝の言葉をかけ、丁寧に握手を交わしていた。選手たちも、写真撮影やサインに応じるなど、最後まで温かな交流のひとときを過ごしていた。チームの結束力や今後への可能性を大いに感じさせる試合であり、敗戦の悔しさを胸に、ルミナスは次のステージに向けて歩みを進めていくだろう。 

ザスパ群馬ルミナスの未来に、これからも注目していきたい。 

【ザスパ群馬レディースルミナス】

https://thespa-l.jp

 

【取材後記】

試合取材を終えた後、太田駅北口にある「大衆食堂昭和レトロ居酒屋わっしょい」を訪れた。ここは、ザスパ群馬ルミナスの代表取締役である須永和昭氏が代表を務める飲食店であり、地元ファンの間でも評判の店である。 

名物の「どデカ唐揚げ」は、その名の通り見た目からして圧倒されるボリュームで、ひとつひとつがこぶしほどのサイズ。今回注文したのは「唐揚げ定食(3個入り)」。揚げたての衣はカリッと香ばしく、中は驚くほどジューシーで肉厚。これだけのボリュームで価格は1200円弱と、まさに“規格外の安さ”と言える。 

店内は昭和レトロな装飾が施され、懐かしさと温かさに包まれた雰囲気が漂っていた。他にもどデカ盛りの定食メニューが揃っており、懐かしい雰囲気の中で料理を楽しむことができる。太田駅へ行った際にはぜひ一度立ち寄ってみてほしい。

大衆食堂 昭和レトロ居酒屋 わっしょい https://www.instagram.com/wasshoi01/

田沖友菜

高崎経済大学一年生。

学生団体SONOSAKI所属の学生ライター。

今後も等身大の視点で取材を続けていきます。

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