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「大切な子どもたちに、挑戦する姿を見せたかったから——」
そんな想いを胸に、2児の母でありながらも、自分自身の夢に真っすぐ挑んだ田中永美さん。
産後わずか3ヶ月でコンテストにエントリーし、歩き方・話し方・表現力を磨き抜いた1年の先に、
世界の頂点「Mrs of the Year WORLD 2025 TOPグランプリ」の栄冠が待っていた。
前橋から世界へ——。
「子育て中でも、自分をあきらめなくていい」
そんなメッセージを全身で体現する、輝くママのリアルストーリーをお届けします。



■ 1. 栄冠について
• 「世界一」に選ばれたときの率直な気持ちは?
率直に言って、まずはやっぱり本当に嬉しかったです。というのも、この世界大会に挑むにあたって、
家族はもちろんのこと、 友人や応援してくださる多くの方々がいて、その皆さんに良い報告が
できたことが何より嬉しかったです。
• グランプリ獲得までの一番の努力や困難は何でしたか?
努力したことは本当にたくさんあるんですけど、やはり一番はボディメイクでした。
というのも、1年前の地方大会から振り返ると、当時は産後3ヶ月で大会にエントリーしたんです。
自分が思い描く「グランプリの姿」に近づけるように、まずは理想のボディをつくることがすごく大変で、
最も努力した部分だと思います。
それから、ステージ上でのウォーキングもたくさん練習しました。世界大会ではウォーキングのほかに、
英語でのスピーチや特技を披露するタレント性など、やるべきことが本当に多くて。
そうした準備を進めるうえで一番大変だったのは、やはり時間をつくることでした。
今は子どもが2人いるので、まとまった時間を確保するのが難しいんですが、家族に協力してもらったり、
スキマ時間をうまく使ったりして、なんとか練習を積み重ねることができました。
■ 2. コンテストの裏側
• ミセスコンテストに挑戦しようと思ったきっかけは?
2024年の4月に、2人目の女の子を出産したときのことです。そのとき、出産時にトラブルがありまして、
子どもは無事に生まれたんですが、私は2.6リットルもの大量出血をしてしまいました。
一時は意識を失って、「大丈夫ですか?」って声をかけられて起きたんですけど、
本当に意識が遠のいていく中で、だんだん呼吸ができなくなっていったのを覚えています。
息が浅くなって、吸えなくなって、「ああ、もうだめかもしれない」と思うくらいでした。
原因は「癒着胎盤」で、胎盤が子宮にくっついてしまって、自然に出てこなかったんです。
先生が胎盤が自然に剥がれるのをギリギリまで待ったり、少し刺激を与えてみたりとかして、
胎盤が出てきたと思ったら、 胎盤がくっついたまま子宮が裏返って外に出てくる「子宮内反症」
という状態になってしまいました。
本当に危険な状態で、意識を失ってから、目が覚めたときは「ここどこだっけ?」って
ぼんやりしていたんですが、 遠くから赤ちゃんの泣き声が聞こえてきて、
「ああ、そうだ。無事に生まれたんだ」って。 その瞬間、「生きてるんだ、良かった……」と、
心から思いました。
一度、本当に死にかけた経験をしたことで、
あらためて「人生は一度きりなんだ」「いつ何があるかわからない」と強く感じました。
もちろん子どもは大切で大好きなんですが、
それと同時に「自分の人生を、自分のためにもちゃんと生きよう」と思ったんです。
それが挑戦のきっかけでした。
そしてもともとウォーキングに興味があったので、「コンテストを通じてチャレンジしてみたい」
と思い、この道に進む決心をしました。
• 審査の過程で意識したこと、美しさ以外で評価されたと感じた部分は?
私はまず埼玉大会でグランプリをいただいて、そこから日本大会、
そして世界大会へとステップアップしていきました。
その中でずっと意識していたのは、「自分はもうグランプリにふさわしい存在だ」
という気持ちを持ち続けることでした。
実際、埼玉大会が終わったあとから、私はすでに「日本大会のグランプリである」
という意識で日々を過ごしていたんです。
そうであるならば、「グランプリにふさわしい人は、どんな行動や言動をするのか」
「どう周りと関わるべきか」といったことを常に考えて行動していました。
大会の審査自体はもちろん当日だけなんですけど、私にとってはその日までの過ごし方こそが
大事だと思っていて。
毎日を丁寧に、自分の理想像に近づけるように意識して過ごしていました。
それが結果として、審査にもつながったのかなと思います。
■ 3. 美の哲学と日常
• ご自身が大切にしている「美」の定義とは?
やっぱり、身体を整えて、心を整えるのが美に繋がると思います。
• 普段の美容・健康ルーティンを教えてください。
食事に関しては甘いもの全般をかなり控えるようにしています。
でも、人と一緒に食事に行くときは、楽しく過ごすことを大切にしているので、
そのときはあまり我慢せずに普通に食べています。
一人のときには、甘いものは極力控えるようにしています。
あとは、日常生活の中で「歩き方」も意識しています。
正しい姿勢で歩くことって、実はすごく大切で、
もちろんたくさん歩けばカロリー消費にもつながるんですが、
将来的な健康を考えると「どれだけ歩くか」よりも「どう歩くか」が重要だと思っています。
姿勢が悪いまま歩いてしまうと、将来的に腰や膝を痛める原因になってしまうので、
私は美と健康のためにも、正しい姿勢・正しい歩き方を心がけています。
■ 4. ミセスとしての使命とビジョン
• 子育て中の母親として、忙しい日常の中で自分を整える秘訣はありますか?
やっぱり子どもが2人いると、毎日が本当に慌ただしくて、自分の時間を持つのが難しいんですが、
それでも「自分を整える時間」はとても大切にしています。
私の場合は、上の子が保育園に行っていて、下の子と2人で過ごしている時間に、
下の子がお昼寝するタイミングを見計らって、カフェに行ったりするんです。
そうやってほんの少しでも「自分だけの時間」をつくって、本を読んだり、
リラックスしたりすることで、心のバランスを保っています。
限られた時間ではありますが、そのひとときが、自分を整える大事な時間になっています。
・ミセスコンテストを通じて伝えたいメッセージはありますか?
女性はいくつになっても耀ける場所があるんだよという事を伝えていきたい。
• 女性たち、とくに母親世代に伝えたいことは?
先ほどの質問とも重複してしまうかもしれませんが、やはり子育てや家事で忙しい中でも、
女性たちには「自分を大切にする時間」を持ってほしいと思っています。
そして、どんなに小さなことでもいいので、「自分のやりたいこと」に一歩踏み出してほしいんです。
もちろん、子どもも大事、家族も大事。でもその前に「自分自身を大切にすること」が
何よりも大切だと思っています。
“シャンパンタワーの法則”という考え方があるんですが、まずは一番上の自分のグラスを満たしてこそ、
あふれた愛情や幸せが家族や周りの人たちにも
自然と広がっていくんですよね。
だからこそ、「自分を後回しにしないこと」。
それが、結果的に家族や周囲の人を幸せにすることにもつながると思っています。
■ 5. 群馬とのつながり
• 群馬での活動やご縁について教えてください。
私は前橋の出身なので、群馬県内とは今でもご縁があります。
これまでにも、県内のイベントでMCを務めたり、趣味でやっているシンガーソングライターとして
ギターの弾き語りを披露したりと、 いろいろな形で地元に関わらせていただいています。
イベントなどの機会があるたびに、群馬に戻ってきて活動しています。
• 地方からでも世界を目指せると伝えられる体験は?
群馬のような地方からでも日本全国の端っこからでも平等にチャンスはあって世界一を狙えると思います。
■ 6. プライベートに迫る
• 今、夢中になっていることは?
コンテストを通じて、元々大好きだったウォーキングにますます夢中になりまして、
その「好き」が高じて、現在はウォーキング講師として活動を始めています。
• オフの日の過ごし方は?
プライベートの時間――つまりオフの日は、基本的に子どもと過ごす時間になっています。
土日は、2人の子どもとしっかり向き合って、思いきり一緒に遊ぶのが私にとっての
「オフの過ごし方」です。
ついこの間の7月の3連休も、毎日子どもたちを連れてお出かけして、
水遊びをしたりと、ずっと一緒に過ごしていました。
平日はどうしても仕事ややりたいことで忙しくなるので、
オフの日はできるだけ子どもとの時間を大切にしています。
• ご家族との時間で特に大切にしていることは?
子どもと「会話する時間」を意識してつくるようにしています。
3歳の息子は、だいぶコミュニケーションが取れるようになってきたので、
しっかり向き合って話す時間を大切にしています。
1歳3ヶ月の娘はまだ言葉を話せませんが、それでもこちらからたくさん話しかけて、
関わる時間を意識的に持つようにしています。
■ 7. 最後に
• “世界一”を目指す誰かへ、一言エールをお願いします。
「世界一になりたい」という気持ちを、ぜひ行動に移す力に変えてください。
そして、自信を持って、堂々とその目標に向かって突き進んでほしいと思います。
心から応援しています。頑張ってください!



- 【田中永美プロフィール】
- 田中永美(たなかえみ)
- 群馬県前橋市出身のシンガーソングライター/モデル/ウォーキング講師
- Mrs of the Year WORLD 2025 TOPグランプリ
- Mrs of the Year JAPAN FINAL TOPグランプリ
- 2011年~2014年、都内事務所に所属しモデルとして活動。
- 2024年に2.6リットルの多量出血を経験。命の尊さを痛感し一度の人生を挑戦し続けるものにすると決意し、
ミセスコンテスト「Mrs of the Year」 に挑戦、日本一位、世界一位に輝く。 - ウォーキングを村神一誠に師事し、村神一誠公認ウォーキング講師を取得。
- 現在フリーモデル、ウォーキング講師として活動中。
- 群馬県前橋市出身のシンガーソングライター/モデル/ウォーキング講師

【取材後記】
インタビューの最中、田中さんの言葉のひとつひとつには、経験に裏打ちされた説得力があった。
「自分のために生きることが、家族の幸せにもつながる」と語る姿に、母として、ひとりの女性として、
そして挑戦者としての強さと優しさを感じた。
ミセスコンテストをきっかけに見出した「ウォーキング」という情熱を、今では講師として他者に届ける日々。
世界の頂点に立った彼女の眼差しは、次なる挑戦と、次世代の輝きを育む未来をしっかりと見据えていた。
群馬から世界へ、そして、すべての女性へ。田中永美さんの歩みは、今も力強く続いている。