Article Title

心をひとつに。夢の先まで!第107回全国高等学校野球選手権群馬県大会開会式

20250705開会式 (3)

群馬の高校球児たちにとって特別な夏が、今年も始まりました。
第107回全国高等学校野球選手権群馬県大会の開会式が、
7月5日、前橋市の上毛新聞敷島球場で厳かに、そして華やかに開催されました。

県内各地から集った出場校の代表選手たちは、緊張と誇りを胸に抱きながら、きびきびとした足取りで入場行進。
スタンドからは家族や仲間、学校関係者らの温かな拍手が送られ、球場全体が大きな期待と希望に包まれました。

この日は、選手たちの姿だけでなく、式の進行を担う高校生たちにも注目が集まりました。
落ち着いた声で大会の流れを支えた司会進行役の生徒たち。
彼らもまた、この大舞台を陰から支える「もうひとりの主役」として、責任と緊張感を持って臨んでいました。

私たちは、各校選手たちの晴れ姿を一人ひとりカメラに収めるとともに、司会を務めた生徒たちにも話を聞き、
この開会式に込められた熱意と青春の一瞬を記録しました。この夏、群馬の高校野球を彩るたくさんの物語が始まります。

昨夏、頂点に立ったチームから、優勝旗が静かに返還された。
高く掲げられたその旗は、誇りと責任、仲間と積み重ねた日々の証そのもの。重みを感じさせるその所作に、球場全体が自然と背筋を伸ばした。
返還された優勝旗には、数えきれない努力と歓喜が刻まれている。
それは、次なる挑戦者たちへと託された「夢の継承」であり、勝利の先にある価値を選手たちに問いかけるようでもあった。
その瞬間、グラウンドを見つめる球児たちの目は、旗の向こうにある未来をまっすぐに見据えていた。
夏が、動き出した。


少年野球の代表として登壇したのは、桐生市立新里中央小学校6年、新里スターズ主将の常木朝陽(つねぎ・あさひ)さん。
小さな体に大きな誇りを宿し、堂々と語ったメッセージには、野球への真っすぐな想いと、仲間への感謝、そして未来への決意が力強く込められていた。

「いつか、この場所でプレーしたい」――
そんな夢がにじむ言葉に、スタンドからは温かな拍手が送られた。晴れやかな表情で語り終えた常木さんの姿は、まるで未来の球児の姿を先取りしたかのようだった。
幼い背中に背負う希望は、やがてこの群馬の夏を彩る力へと育っていく。
整列した選手たちの後方では、各校の監督や部長の先生方が、静かに、しかしどこか誇らしげなまなざしで生徒たちの背中を見つめていました。
この日のために重ねてきた日々の練習、悔しさも笑顔もすべてを知る大人たちの視線には、指導者としての想いと、送り出す親心のような情が滲んでいました。
今、このグラウンドに立つ選手一人ひとりの姿は、指導者とともに歩んできた証そのもの。勝利を目指す戦いの先には、野球を通して育まれた絆と、心の成長が確かに刻まれています。




グラウンドに立つのは選手だけではありません。
この開会式を陰で支え、声で彩った生徒たちの姿もまた印象的でした。

進行を務めた司会の生徒たちは、厳粛な雰囲気の中でも落ち着いた声で全体をリードし、式を滞りなく運営。その緊張感と責任を背負う姿は、まさに大会の「裏の立役者」と言える存在です。

また、堂々とした姿勢で大会の幕開けを飾った選手宣誓。そして、球場に響き渡る清らかな歌声で式に花を添えた独唱の生徒。
それぞれが大役を任されながらも、その役割に真摯に向き合い、見事に果たしていました。

私たちはそんな彼らにも話を聞きました。
舞台裏の緊張と、その先にあった達成感。そして、この経験がもたらしたものとは――。

司会:齋藤 優透さん(さいとう ゆうと)前橋東高校3年

(NHK杯全国高校放送コンテスト群馬大会アナウンス部門最優秀、県代表)

まずは、正直とても疲れました。本番はやはり練習とは違い、独特の緊張感がありました。
少し場違いなところに来てしまったような感覚もあり、その雰囲気に圧倒されてしまった部分もあったと思います。
足が思うように動かず、自分でも「バグったな」と感じる瞬間がありましたが、
なんとか緊張を表に出さずにやり切ることができたと思っています。
実は一か所だけ言葉を噛んでしまった場面があったのですが、それも含めて、とても貴重な経験になりました。
大会を終えた今は、達成感や満足感がありますし、このような大役を任せていただけたことに、心から感謝しています。

乘附心泉さん(のつけ ここみ)高崎女子高校2年

(NHK杯全国高校放送コンテスト群馬大会アナウンス部門朗読部門最優秀、県代表)

やっぱり、終わってみるとすごく大きな達成感があります。振り返ると、所々反省する部分もあって──
たとえば、少し言葉を噛んでしまったり、話すスピードが早くなってしまったりと、自分でも「悔しいな」と感じるところはありました。
でも、それも含めて良い経験になったと思いますし、全体的には「よくやった」と自分を褒めたいです。

大会歌独唱 萩原 基心さん(はぎわら きしん)前橋高校2年

選手の皆さんの背中を少しでも押せるような歌い方ができたのではないかと思っています。
僕自身はこれまで運動とはあまり縁のない人生だったのですが、野球部の友人が多くいて、
今回の独唱の選考会にも、そうした友人に勧められて挑戦しました。
だからこそ、野球部の友人をはじめ、出場する選手の皆さんを心から応援する気持ちで歌うことができました。

選手宣誓:田中 慶幸さん(たなか よしゆき) 渋川高校野球部主将

ほッとしています。まだ試合はこっからなんで、こっから夏が始まるって改めて実感した気持ちで最初の声を上げたので、最後の声も上げたいですよね。

静かに幕を閉じた開会式の余韻を残しながら、球場には新たな緊張感と高揚感が漂い始めた。
これまでの努力と仲間との絆を胸に、球児たちはいま、覚悟を決めてそれぞれの夏へと歩みを進めていく。

勝利を手にするチームは、ただひとつ。
しかし、この舞台に立つすべての選手が、それぞれの物語の主人公だ。
悔しさをこらえた日、笑い合った日、くじけそうになった日――そのすべてが、このグラウンドに立つ力となり、白球を追う原動力となる。

背番号を背負った瞬間から、もう一人の自分との戦いが始まっている。
応援してくれる家族、地域の人々、そして支えてくれた仲間たちに、全力のプレーで応えたい。
そんな想いが、選手たちの表情にはっきりとにじんでいた。

この夏、どんなドラマが生まれるのか。
どんな一球が、どんな一言が、未来を変えるのか。
今はまだ誰にも分からない。

けれど確かなのは、球児たちの一歩一歩が、かけがえのない青春の証として、群馬の地に刻まれていくということだ。

熱い夏が、いま始まる――。

上部へスクロール