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3P15本成功、堅守と連動した攻撃が冴え渡る
待ちに待ったホーム開幕節。群馬クレインサンダーズは、レバンガ北海道を相手に99–72で快勝を収めた。序盤からテンポよくボールを動かし、次々とシュートを成功。3ポイントシュートは30本中15本、成功率50%と高確率を記録した。
カイル・ミリングHCは試合後、「ボールをしっかり回せて、良いシュートが打てた。ディフェンスからオフェンスへとつながる理想的な展開だった」と手応えを語った。












辻直人が流れを呼び込む
第2クオーター、19–16と接戦で迎えた場面。SG辻直人が2本連続で3ポイントを沈め、チームに勢いをもたらした。特に2本目は、粘り強い守備から速攻で決めた見事な一撃だった。
後半はPG/SG藤井祐真、SFトレイ・ジョーンズらも外角から次々とシュートを決め、リードを拡大。ケリー、J.T.、A.J.のビッグマン3人で計17アシストを記録し、内外にボールを動かして攻撃を活性化させた。
藤井は「今までの試合ではゾーンディフェンスに苦しむ時間もあったが、今日はしっかりボールを回せた」と振り返る。
富永啓生を封じる堅守
レバンガ北海道のSG富永啓生に対しても、群馬の守備が光った。Gリーグ出身の富永に得意の3ポイントを一本も決めさせず、徹底したチームディフェンスで封じ込めた。
ミリングHCは「特別な対策をしたわけではなく、チームとしてのディフェンスルールを遂行した。富永選手は素晴らしいプレーヤーだが、簡単なシュートを打たせないよう徹底した」と語る。



北海道・トーステン・ロイブルHC「群馬が今季ベストゲームだった」
一方、レバンガ北海道のトーレHCは「ゾーンもプレスもトラップも試したが、何をしても通用しなかった。群馬は我々のディフェンスにすべて対応してきた。今季ベストゲームをされた」と脱帽のコメント。
エースの富永については「リズムを掴めず、運にも恵まれなかった。彼だけでなく他のキープレーヤーもオフェンスの流れを作れなかった」と振り返った。



攻守一体の群馬、課題克服で上昇気流
群馬は今季開幕からアウェー4連戦を戦い、この試合が初のホームゲームだった。ミリングHCは「ファンの前で勝利できてうれしい。全員がチームとして遂行できた」と笑顔を見せた。
これまでの課題だったゾーンアタックも改善。ビッグマンのペイントアタックからガードへ展開する「パッシングゲーム」で得点を重ねた。
「ゾーンに対するPPP(1ポゼッション当たり得点)も悪くなかったが、ターンオーバーが多かった。今日は丁寧に攻められた」と分析する。



次節はアウェーで強豪対決
サンダーズは次節からアウェーで千葉J、琉球との連戦に挑む。ミリングHCは「チーム全員でこの4連戦を乗り越え、再びホームに戻りたい」と意気込みを語った。
■トーステン・ロイブルHC



本日の試合を振り返ってみると、序盤から群馬が非常に良い流れを掴んでいたことが印象的でした。出だしからペイントアタックを中心に攻め、そこからのボールムーブメントが非常にスムーズで、最終的にオープンシュートを多く生み出していました。アシストが29本という数字が示すように、個人技だけでなくチーム全体としての連動が機能していたと言えます。特にインサイドとアウトサイドのバランスが良く、相手ディフェンスを的確に崩していたのが勝因のひとつでした。
一方、我々のディフェンス面では、当初のゲームプランであった「簡単にシュートを打たせない」という部分が遂行しきれず、結果として相手に気持ちよく打たせてしまった場面が多く見られました。ゾーン、プレス、トラップなど、あらゆる戦術を試しましたが、どれも大きな効果を得られず、群馬が我々のディフェンスに対して明確な答えを持っていた印象です。彼らの攻撃は終始整理されていて、対応する間もなくペースを握られてしまいました。
オフェンス面でも課題が残りました。特にリズムを掴むまでに時間がかかり、キープレイヤーたちがなかなか得点面で貢献できませんでした。富永選手も含め、主要メンバーのリズムが噛み合わなかったことが大きく、個々の力に頼る展開が増えてしまいました。富永選手に関しては、今日のシュートタッチがあまり良くなかったことに加え、少し無理なシュート選択もありました。彼はわずかなスペースでもシュートを打てる選手ですが、今日はフリースローの機会も少なく、運にも恵まれなかった印象です。こうした中で、彼一人に頼る形ではなく、チーム全体でリズムを取り戻す工夫が必要だったと思います。
一方で、群馬のディフェンスは非常に機能していました。個々がしっかりと役割を果たし、相手の強みであるアウトサイドシュートを封じ込めるような守りを見せました。富永選手に対しても特別な戦術ではなく、チーム全体でルールを徹底して守ることで簡単なショットを打たせなかった点が評価できます。これこそ「チームディフェンス」の理想的な形であり、群馬が今季好調を維持している理由のひとつでもあります。
また、群馬のオフェンスでは、ビッグマン陣が高いパス能力を発揮し、ケリー選手、J.T.選手、A.J.選手の3人で17アシストという数字を記録しました。ガード陣が的確にボールを預け、ビッグマンが周囲を生かす形を作れていたことが、3ポイント成功率50%(30本中15本)という高精度につながっています。ゾーンディフェンスに対しても、過去4試合の反省を活かし、映像分析を重ねてボールの動きを改善してきた成果が現れました。
さらに、試合全体を通して群馬が意識していたのは「良いポゼッションを終える」こと。これにより、相手のトランジションを抑えることができ、守備のリズムにもつながっていました。早い展開を仕掛ける一方で、焦らず自分たちのテンポを維持し、結果としてゲーム全体をコントロールできた点は非常に評価できるポイントです。
最後に、チーム全体の雰囲気についても触れておきたいと思います。開幕から4試合連続でアウェイが続いた中で、ようやく迎えたホームゲーム。選手・スタッフともにこの日を待ち望んでおり、会場の熱気も相まって素晴らしいエネルギーが感じられました。コーチも「日本で一番のファンに支えられている」と語っており、その応援を力に変えて見事なパフォーマンスを披露したことは大きな意味を持ちます。
総じて、群馬のチームとしての完成度の高さと、個々の役割遂行力が際立った試合でした。一方、相手チームにとっては、ディフェンスとオフェンス両面での課題が浮き彫りになった内容でもあり、今後の修正が鍵となるでしょう。
■富永啓生選手



そうですね。まず、自分たちは試合前から「相手の3ポイントを止めなければいけない」と話していました。
ただ前半から気持ちよく打たせてしまい、前回と同様に前半で点差をつけられる展開になってしまいました。今回は巻き返せず、情けない試合をしてしまったと思います。
アウェイ5連戦という厳しい中で3勝できたのは良かった部分だと思います。もう1勝取れたらもっと良かったですが、悪くはない。ただ、ホームに戻ってからは負けられない試合が続くので、今日のような内容はしっかり改善していかないといけません。
プレーの感覚としては、徐々に良くなってきています。
今日はチームとしてオフェンスもディフェンスも自分たちのリズムでできなかった印象があります。そこがうまく噛み合えば、自分たちの武器をもっと出せると思いますし、そうなったときに本当の強さが出ると思います。試合中、もっと早い段階から、より長い時間その形を出せるようにしていきたいです。
中村選手とのマッチアップはすごく楽しかったです。過去にアメリカで戦ったことがあり、日本ではなかなかこういう対戦がなかったので、こうしてまた戦えるのは嬉しいですね。やっぱり「負けられない」という気持ちが強くあります。



(NBA挑戦について)
今は本当にここ(レバンガ)に集中しています。まずはチームを勝たせて、チャンピオンシップに出ることを目標にしています。
その先にキャリアの話があると思うので、今は1試合1試合、自分がチームにできることを全力でやっています。
今日はチーム全体的に少し疲れもあり、自分たちらしい速い展開が出せませんでした。オフェンスがうまくいかないときこそ、ディフェンスで流れを掴まないといけません。相手に気持ちよく打たせてしまった場面もあったので、そこは修正していきたいです。
■ジョン・ハラー選手



富永選手が言った通りで、ディフェンスの部分で相手に簡単にオープンシュートを打たせてしまいました。自分たちの良さはディフェンスから走る展開ですが、今日はそのトランジションが出せなかったと思います。
今日は負けてしまいましたが、B1でのダブルダブルは初めてでした。これまで全チームのホーム開幕戦で我々がアウェイとして戦ってきたので、ようやく自分たちのホームで試合ができるのを本当に楽しみにしています。
このチームは自分のキャリアの中でも最もタレントが揃ったチームなので、試合を重ねながら自分の役割をアジャストしていきたいです。
アウェイ5連戦を終えて、リーグの環境にも少しずつ慣れてきました。審判の基準なども含めてアジャストが必要ですが、ここからはもっと積極的にプレーしていきたいと思います。
ディフェンスに関しては、相手が3ポイントを消しに来ていたと思います。その分、ドライブのスペースが空いていた印象があります。自分のシュートが外れてしまった部分もあるので、そこは修正していきたいです。
【試合総評/カイル・ミリング ヘッドコーチ】



――ホーム開幕での快勝、おめでとうございます。まずは試合を振り返ってください。
ミリングHC:
シーズン最初の4試合をロードで戦ってきましたが、ようやくホームでプレーできて本当に嬉しいです。選手もスタッフも、そしてファンの皆さんもこの日を心待ちにしていました。今日の試合では、自分たちのやりたいバスケットをしっかり遂行できたと思います。ディフェンスからオフェンスにつなげることができて、良い展開でした。
――3ポイントが30本中15本と高確率でした。その要因は?
ミリングHC:
日頃の練習の成果ですね。特にパッシングゲームが非常に良かった。ケリー、J.T.、A.J.の3ビッグで合計17アシスト。ガードからビッグへ、ビッグから外のシューターへと良いボールムーブメントが生まれました。チーム全体で「ボールをシェアしよう」という意識があったことが、オープンなシュートにつながったと思います。
――富永啓生選手を3P成功0本に抑えました。どのようなディフェンスを意識しましたか?
ミリングHC:
富永選手は本当に素晴らしいシューターです。試合前にも「どう守るんだ?」と多くの人に聞かれましたが、特別なことはしていません。チームとして、自分たちのディフェンスルールを遂行しただけです。個人で守るのではなく、スイッチを多用しながら全員で守る意識を持っていました。結果的に簡単なシュートを打たせず、チーム全体で抑えられたのが良かったと思います。
――これまでゾーンディフェンスに苦しむ試合もありましたが、今日は攻略できていました。
ミリングHC:
そうですね。三河戦のあとに映像を見て、チーム全体で修正を重ねてきました。ゾーンを崩すにはパッシングゲームとペイントアタックが鍵です。今日はビッグマンがしっかり中にアタックして、そこから外に展開できた。PPP(1ポゼッションあたり得点)自体は悪くなかったんですが、これまでターンオーバーが多かったのが課題でした。今日はそれが減って、いい形でシュートまでいけたと思います。
――北海道はトランジションが速いチームですが、どんな意識で臨みましたか?
ミリングHC:
「いいポゼッションで終わること」。それを選手たちに伝えました。自分たちが良いシュートで終えれば、自然とトランジションディフェンスも整います。もちろん速い展開も狙いましたが、今日は自分たちのペースを保ちながら攻撃できた。名古屋や広島のように相手の速い展開に巻き込まれないよう、しっかりハーフコートで勝負する意識を持っていました。
中村拓人「ディフェンスから生まれるオフェンスが鍵」ホーム開幕戦での手応え語る



群馬クレインサンダーズの中村拓人選手は16日のホーム開幕戦後、会見で試合の総括と自身の役割について語った。
中村選手は「今日の試合はディフェンスが40分通して機能し、それがオフェンスへの流れにつながった。チームとして準備してきたことを出せたのが良かった」と振り返った。また、2年目の今シーズンについては「チームに新たなタレントが増えた中で、リズムが乗れない時は全員でディフェンスすることが大事」と強調し、自身はポイントガードとしてチームのシュート機会を作るクリエイト役を担っていると語った。
さらに、中村選手はスタッツよりも勝利を重視していることを明かし、「チームの効率的な動きを作ることが自分の役割。勝利のために全力を尽くす」とコメントした。
注目のマッチアップとなった富永選手との対戦については「中学時代からのライバルで、今日の対戦は非常に楽しめた。互いに負けない気持ちで戦えた」と振り返った。後半のディフレクションの場面では、自身の守備がチームに貢献できたことを喜びつつも、「まだ改善点もある」と冷静に分析した。
ホームゲームでのファンの声援にも触れ、「応援してくれる方々のためにも勝ちたいという気持ちが強まる。ホームでの戦いは特別」と語り、今後のシーズンに向けて意欲を示した。
藤井選手、ホーム開幕戦を振り返る「チームのリズムが勝利の鍵」



群馬クレインサンダーズの藤井選手が、ホーム開幕戦を振り返り、チームとしてのプレーの手応えを語った。
「ホーム開幕戦ということで、ファンの皆さんも待ち望んでいた試合でした。ディフェンスがしっかり機能し、チームとしてやりたいバスケができたと思います」と藤井選手。序盤の水曜ゲームでの課題を克服し、リズムよくプレーできたことが勝利につながったと語った。
自身の役割については、「いろいろなポジションで出場する中で、自分のリズムを保ちながらチームに合わせてプレーすることを意識しています。ディフェンスの強度は変わらないですが、オフェンスでのリズム取りは今シーズンの課題です」と説明。怪我に対しても、「痛みを感じても、コートに入るとプレーに集中できる」と、身体的・心理的な強さを見せた。
チーム全体については、「誰かが目立つのではなく、全員でパスを回し、打つべきところで打つ。それが僕たちのやりたいバスケです」と評価。相手の攻撃力が高い北海道戦を72点に抑えた守備についても、「トータルとしてチームディフェンスを遂行できた」と胸を張った。
藤井選手の言葉からは、個人のプレーだけでなく、チーム全体のリズムや連携を重視する姿勢が伝わる一戦となった。

【編集後記】
群馬クレインサンダーズ、待望のホーム開幕戦で快勝。序盤からシュートが次々に決まり、北海道を寄せ付けず99得点。特に3ポイントは30本中15本成功と圧巻の精度を見せ、ビッグマン3人が17アシストを記録。攻守ともに噛み合った試合となった。
辻直人選手の第2クオーターの連続3ポイントや、藤井祐真選手、トレイ・ジョーンズ選手の外からの得点が攻撃に勢いをつけ、チーム全体でのボールムーブメントが機能した。カイル・ミリングHCも「ボールをしっかり回せて、良いシュートを打てた」と手応えをにじませた。
ディフェンス面でも、北海道の富永啓生選手を封じ込め、得意の3ポイントは一本も許さず。チーム全体で守るルールを遂行し、簡単なシュートを与えない徹底ぶりが光った。富永選手自身も「リズムを作れなかった」と振り返るほど、サンダーズのディフェンスは機能していた。
これで前半戦のロード連戦を終え、ホームに戻ったチームは、これから強豪・千葉J、琉球との連戦を控える。開幕戦の勢いを維持しつつ、ディフェンスからの攻撃、チーム全員でのボールシェアをさらに磨くことが、勝利への鍵となるだろう。
選手たちが一丸となってコートを駆け抜ける姿に、会場のファンも熱狂。群馬愛あふれるサンダーズと、観客の声援が生む一体感は、このチームの大きな強みだ。ホームでの連戦も、ぜひ期待したい。


