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2026年6月9日
病気の手術痕や、体へのコンプレックスなど、さまざまな事情から「裸で温泉に入ること」に抵抗を感じる人々がいます。
そんな悩みを解消し、国籍や文化、個人の事情を超えて誰もが名湯を楽しめる温泉文化を目指すプロジェクトの成果発表セミナーが、昨日6月8日、群馬県庁32階の官民共創スペース「NETSUGEN」で開催されました。
今回のセミナーでは、共愛学園前橋国際大学の仮想企業「燈(とぼし)」、乳がんサバイバーの当事者である藤井佳津枝先生、そして地元の共創企業が共同開発した「ゆがすみ2026モデル」の湯浴み着がお披露目されました。



■ 世界基準の課題を解決する、新モデル「ゆがすみ2026」の特長
世界を見渡せば、公衆の前で「裸で入浴する」という文化を持つ国は決して多くありません。また、宗教上の理由から肌を露出できない人々にとっても、日本の伝統的な温泉文化は高いハードルとなっていました。群馬県が目指す「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に向けて、これら世界基準のダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)への対応は不可欠な課題です。
「燈(とぼし)」の代表を務める飯塚俊太朗さん(共愛学園前橋国際大4年)たちのチームが、地元企業や当事者と共に品種改良を重ねて完成させた最新モデルは、以下の特長を備えています。
- 機能性と尊厳の両立: 薄くて速乾性があり、水に入っても透けにくい素材を採用。温泉マークをあしらったデザインが施されています。
- 地域産業の力を集結: 絹など、群馬県産の素材を使用。開発段階から桐生高等通信制の教頭である藤井佳津枝先生がサバイバーとしての視点から助言を行い、高い実用性を実現しました。
- コストの抑制: 改良を重ねることで製造コストを抑え、今後の「貸出・導入」を普及させやすい仕組みを整えました。
飯塚さんは「長い道のりだったが、目に見える成果にたどり着いた。ここからがスタート。裸の温泉文化も大切にしながら、世界中から群馬の温泉に来るすべての人々の選択肢が広がることを目指したい」と力強く語りました。



■ 10月23日開催!草津温泉・西の河原露天風呂で「100人入浴イベント」

セミナーでは、ピンクリボン月間に合わせ、世界にダイバーシティ温泉文化を発信する大型イベントの開催も発表されました。
- 日時: 2026年10月23日(金)
- 場所: 草津温泉 「西の河原露天風呂」
- 内容: 開発された湯浴み着を無料で貸し出し、国内外の誰もが一緒に温泉を楽しむイベントです。混浴時間帯などを活用し、温泉街や参画企業の全面協力のもとで実施されます。
目標とする参加者は100人。藤井佳津枝先生も登壇し、「湯浴み着が当たり前」となる風景を草津の地から創り出したい、とイベントへの想いを訴えかけました。イベントは当事者や外国籍の方を問わず、趣旨に賛同する方なら誰でも参加可能です。



■ 今後の展望と応援の輪
「燈(とぼし)」では、今回の湯浴み着の製作費や施設利用料に充てるため、7月1日からクラウドファンディングを開始する予定です。https://camp-fire.jp/projects/949964/preview?token=rt2z2zh5&utm_campaign=cp_po_share_c_msg_projects_show
【本件・イベントに関するお問い合わせ】 湯あみ着普及プロジェクト事務局(担当:こぐれ 090-4829-1319)
【編集後記】湯浴み着が紡ぐ、世界に誇る「GUNMA」のダイバーシティ
昨日、NETSUGENで開催されたセミナーを取材しながら、日本の温泉文化がまさに歴史的な転換点を迎えているのを肌で感じた。このプロジェクトの本質は、単なる一過性の福祉イベントではない。群馬県が総力を挙げて突き進めている「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録を、名実ともに世界の宝へと押し上げるための「ミッシングピース(欠けた最後のパズル)」を埋める挑戦なのだ。
ユネスコが重視するのは、その伝統がいかに現代社会において多様な人々に開かれ、愛され、持続しているかという普遍的価値である。 しかし、これまでの「裸の付き合い」を前提とした温泉は、手術痕を持つ方々だけでなく、そもそも「人前で裸になる文化を持たない」多くの国々の人々や、宗教上の理由から肌を隠す必要がある世界の人々に対して、大きな障壁となっていた。伝統が、無意識のうちに「排除」を生んでいた側面は否定できない。
共愛学園前橋国際大の「燈(とぼし)」、藤井佳津枝先生、そして地元の共創企業が一体となって生み出した「ゆがすみ2026モデル」は、その見えない壁を鮮やかに打ち破るプロダクトだ。群馬産の絹という伝統素材を用いながら、世界の多様な文化や個人の事情を包み込むこの一着は、「誰もが排除されない、差別のない世の中」を温泉という空間から世界へ発信していく大きな武器になる。
10月23日、世界に冠たる草津温泉・西の河原露天風呂に、世界各国からの多様な人々が湯浴み着をまとって集う。同じ湯に浸かり、互いの文化や違いを超えて笑顔を交わす「100人入浴イベント」の光景――それこそが、群馬が世界に提示すべき「真のダイバーシティ&インクルージョン」の姿であり、ユネスコが認めるべき新しい日本の温泉文化の姿ではないだろうか。
伝統を硬直させるのではなく、世界基準の優しさを持ってアップデートする。7月1日から始まるクラウドファンディングも含め、「情報ぐんま」はこの壮大な挑戦をこれからも追い続け、全力で伴走していきたい。