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2026年7月15日、文部科学省のスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)指定校である群馬県立高崎高等学校にて、官民協働の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」を活用して世界に挑んだ3名の大学生・大学院生による出張授業が開催された。



イギリス、ニュージーランド、オーストラリアへと飛び立ち、現在は医療、ロボティクス、スポーツ科学といった多彩な最先端分野で活躍する彼ら。授業終了後、本紙は彼らに単独インタビューを行い、高校生たちに伝えたかったメッセージと、それぞれの「これからの野望」について話を伺った。
1. 「医療を優しく、身近に」地域と社会の課題に寄り添う



――小林ななみさん(群馬大学医学部医学科 6年 / イギリス留学経験者)
「世界に貢献できる医師へ」 壇上で力強くそう書かれたスケッチブックを掲げた小林さん。彼女の視線は、すでに目の前の患者さん、そして社会の課題へと向けられています。
【小林さんのプロジェクトとこれからの挑戦】 小林さんは現在、医療によりアクセスしやすくするための多角的なプロジェクトを学内外で推進している。
「まずは大学の中から始めようと、大学病院内の案内を『やさしい日本語』で分かりやすく進めていく取り組みを行っています。 もう一つ、今日のお話でも少し触れましたが、『包括的性教育』と『フェムテック』に関する介入プロジェクトにも注力しています。群馬県内で行われている『性教育フェスタ』の出展をお手伝いさせていただいたり、生理痛を男性なども疑似体験できる『生理痛体験』といった文化的なアプローチをきっかけに、PMS(月経前症候群)などの話題を日常の会話の中でカジュアルに話せるような社会づくりを目指しています」
かつてトビタテでイギリスに飛び立った彼女は、医療ボランティアや性教育啓発のインターンなど、常に「誰かの生きづらさを解消する」ために行動を続けている。 「これからのこととして、一緒に頑張って、ずっと続けていきたい大切なプロジェクトです」と、笑顔でこれからのビジョンを語ってくれた。
2. 「研究成果を社会実装し、本当の意味で社会に還元する」



――井義織(よしおり)さん(筑波大学大学院 / ニュージーランド・スイス留学経験者)
【藤井さんの野望:稼いで税金として返す、真の社会貢献】 ニュージーランドでの留学を原点に、環境問題の解決やAIロボティクス企業でのインターン、スイスへの研究留学など、凄まじいスピードでキャリアを構築している藤井さん。大学院で博士課程に進学した彼の「野望」は非常に骨太だ。
「これまでの人生、トビタテの支援をいただいたり、経済産業省の起業家育成プログラム(J-StarX)に採択されたり、大学などの教育システムも含めて、社会から本当にたくさんの恩恵を受けて育ってきました。だからこそ、最近は『これらをしっかり社会に返していきたい』と強く思っています。
現在は博士課程で医療デバイスの研究をしています。研究成果を論文として残すことももちろん素晴らしい社会貢献ですが、私はその先に行きたい。本当に患者さんや医療従事者の方を助けられる、実用的な形で社会の役に立つアウトプットをしたいんです。 今は東京都のスタートアップ支援プログラムなども活用しながら事業化(起業)を目指しています。しっかり社会の課題を解決し、ビジネスとしてもしっかりと稼いで法人税を納める。そうやって、自分が受けてきた恩恵を税金という形でも社会に還していくこと。それが今の私の野望です」
3. 「挫折を乗り越え、トップアスリートのメンタルを支える存在へ」



――佐久間悠斗さん(早稲田大学スポーツ科学部 2年 / オーストラリア留学経験者)
【佐久間さんの目標:メンタルヘルス支援と、自らの復活】 高校時代に水泳の指導法を学ぶためオーストラリアへ渡り、現在は早稲田大学の水泳部でトップアスリートたちと共に歩む佐久間さん。彼の近い将来の目標、長年の夢は、自らの苦い経験から紡ぎ出されたものだった。
「大学に入ってからの近い将来の目標として、まずは大学在学中に『トップアスリートのメンタルヘルス』について深く学びたいと考えています。 実は私自身、大学1年生の頃にメンタルを病んでしまい、3ヶ月半ほど苦しい時期を過ごしました。今はそこから回復し、ようやく少しきつい練習メニューもこなせるようになってきています。だからこそ、今後はメンタルヘルスへの理解を深めると同時に、選手としてインカレで上位入賞、最低でもレギュラーを勝ち取り、チームに這い上がって貢献したい。
そして、社会人になってからの昔からの夢もあります。今の若い世代、特に高校生世代は、どこかで『自分には無理だ』とブレーキをかけてしまいがちです。でも、周りに何を言われようと『いやいや、そんなことはない。自分ならできる』と強く思って行動しないと、本当にやりたいことは実現できません。自らの経験を糧に、挑戦する人をメンタル面から支え、後押しできる存在になりたいです」
福井・長野出身の先輩から、群馬の高校生たちへ贈るメッセージ
首都圏に比べて「情報が限られている」「チャンスが少ないのではないか」と感じがちな地方都市の環境。福井県出身の佐久間さんと、長野県出身の藤井さんに「地方から世界へ飛び出すためのアドバイス」を求めた。
藤井さん: 「私も長野県出身なので、東京に比べて情報が限られている地方の環境は、群馬の高校生たちにとっても近いものがあるかもしれません。ただ、僕自身、一歩飛び立つきっかけとして東京の同世代の学生たちと出会い、そこで様々な刺激や情報を得たことで、まったく新しい道が見えてきました。 今の時代、インターネットやAIを駆使すれば、情報へのアクセス自体はどこにいてもかなり容易になっています。まずはそのツールを使い倒してみてください」
佐久間さん: 「私の出身である福井県も本当に田舎で、やはり周囲には『飛び立てなかった人』もたくさんいます。私の代でも、学校からトビタテで留学に行けたのは私ともう一人だけでした。でも、自分が一度飛び立った姿を見せたことで、出身クラブの後輩が私の背中を追うように同じように留学に旅立っていきました。誰かが一歩踏み出す姿は、必ず次の人の勇気になります」
藤井さん・佐久間さんからの共通のアドバイス: 「単なる旅行ではなく、自分の意思で『飛び立つ』という選択肢の中には、国内外問わず本当にたくさんの素晴らしいプログラムが存在します。日本国内であれば、まずは東京に出てみるのも大きな一歩ですし、思い切って海外に出てみるのもいい。 まずは一度、今いる場所の外へ出てみること。そこから初めて、世の中の仕組みや新しい物事が見えてきます。チャンスを増やすために、まずは恐れずに一歩を踏み出してほしいですね」
知っておきたい!群馬の高校生が「トビタテ!」を活用してほしい理由



(解説:トビタテ!留学JAPAN 広報・マーケティングチームリーダー 西川朋子氏)
「留学はお金がかかる」「ハードルが高い」と諦めていませんか? 今回の取材にあたり、文部科学省「トビタテ!留学JAPAN」広報・マーケティングチームリーダーを務める西川朋子氏にお話を伺うことができました。
西川氏によると、トビタテは「返済不要の奨学金」が給付される官民協働の非常に手厚い留学支援制度です。さらに、群馬の高校生にとって、今が史上最大のチャンスとなっています。
「GUNMAグローバル人材育成事業」がスタート!
群馬県は2025年度、トビタテの「拠点形成支援事業」に採択されました。これに伴い、群馬県内の企業や団体からの寄附を原資とした、「群馬県の高校生のためだけの優先枠・留学支援制度」が大幅に拡充されています。
- 学年や英語力だけで判断しない! 成績や語学力重視の一般的な留学制度とは異なり、トビタテは「自分が現地で何を学び、どう社会に還元したいか」という「パッション(情熱)と探究心」を何より重視します。
- 「旅行」ではなく「マイ探究」 今回登壇した佐久間さんのように「オーストラリアの水泳指導法を学ぶ」といった、自分だけのオリジナルなテーマ(マイ探究)で留学を自由に設計できるのが最大の魅力です。
「群馬にいながら、世界とつながる」。そのための扉は、今、目の前で大きく開かれています。


【取材を終えて】
「今の高校生は、周囲から無理だと言われても『いやいや、そんなことはない』とあえて思わないと突き進めない。だからこそ、こうした生の声が必要だ」と語るインタビュアーの木榑氏。 自身も専門学校で「夢を実現させたいけれど、どうしていいか分からない」と悩む若者たちと「夢学科」で向き合っている。
今回登壇した3名の若きトビタテ生たちの言葉は、情報に溢れながらも一歩を踏み出すことに臆病になりがちな現代の高校生たちにとって、何よりの道標となるに違いない。
(取材・構成:木榑浩之 / Webメディア「情報ぐんま」編集部)