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【独占インタビュー】真打・林家つる子が見つめる「落語」と「群馬」のサステナブルな未来

林家つる子宣材写真⑦

高崎市出身の落語家として、また群馬を愛する一人の表現者として、縦横無尽の活躍を続ける真打・林家つる子師匠。先日本拠地・高崎で開催された落語会「其の拾五」は大盛況のうちに幕を閉じました。熱気冷めやらぬ中、場所をNETSUGENへと移し、『情報ぐんま』代表の木榑博行が、故郷への想い、真打としての覚悟、そして群馬のカルチャーが持つ無限の可能性についてたっぷりとお話を伺いました。

初志に帰れる場所。故郷・高崎の高座が教えてくれること

木榑: 先日の高崎での落語会、私も拝聴させていただきましたが、本当に大盛況でしたね!地元の群馬で高座に立つということは、師匠にとって他の場所とは違う特別な空気感や安心感があるのでしょうか。

林家つる子師匠(以下、つる子): 本当にありましたね。「初志に帰る」という言葉がありますが、私にとって高崎は本当の意味で初志に帰れる場所なんです。

実は、小学校や幼稚園の頃の私はものすごく内気な子供でした。高崎で落語会を開くと、当時の私を知っている地元のお客さまがたくさん来てくださるんです。皆さん「あの内気だったつる子ちゃんが落語家になったなんて!」と、本当にびっくりされていて(笑)。

こうして一人の落語家として高座に上がらせていただき、地元の、そして県内のお客さまの前で落語をやらせていただけている。その事実が五臓六腑に染み渡って、「今まで諦めずに頑張ってきてよかったな」と、一番強く実感できる大切な場所ですね。

木榑: まさに世界に挑んだアスリートが、地元に「凱旋帰国」したときのような温かさと安心感がありますよね。

つる子: 本当にその通りですね!地元だからこその安心感をいただきつつ、「もっと成長した姿をお見せしたい」という心地よい緊張感と強い思いが、いつも以上に湧き上がってきます。

プレッシャーをやりがいに。真打として背負う責任と充実感

木榑: 真打に昇進されてから、まさに怒涛の日々が続いていると思います。ご自身の中で、落語に対する向き合い方や、見えてきた景色に何か変化はありましたか?

つる子: 真打になってから、一人の落語家として背負う責任感やプレッシャーは、二ツ目の頃とは比べものにならないほど大きくなりました。ありがたいことに「林家つる子」の名前を目がけてお客さまが来てくださり、お仕事をいただく機会が格段に増えたからです。

二ツ目の頃は、諸先輩方の前座を務めさせていただきながら、「真打に向けてどう成長していくか」という修業のグラデーションの中にいました。ですが真打となった今は、最初から一人のプロフェッショナルとして、皆さんの大きな期待を正面から受け止めることになります。

プレッシャーはもちろん凄まじいですが、その分、落語会を終えたあとの達成感や充実感は、二ツ目の頃の何倍ともなりました。やりがいの大きさを実感すると同時に、今後はゆくゆく「次世代を育てる立場」になっていくことも見据え、もっともっと人間として、落語家として成長していかなくてはならないという強い責任感を感じています。

古典に新しい息吹を、新作落語で群馬の文化(上毛かるた)を全国へ

木榑: つる子師匠といえば、古典落語への革新的なアプローチだけでなく、群馬をテーマにしたユニークな新作落語にも取り組まれています。落語を通して今、一番届けたいメッセージとは何でしょうか。

つる子: 私は大学の落語研究会で「古典落語ってなんて面白いんだ!」と魅せられてこの世界に入りました。けれど落語を深掘りしていくうちに、落語という芸能は、それぞれの時代に合わせて柔軟に進化・変化してきたからこそ、今に伝わっているんだと気づいたんです。

「守るべきものは守りながら、今の時代に変化させていけるものはないか」と考えたとき、行き着いたのが落語の中の「女性たち」でした。男性主人公が多い落語ですが、その裏側には、その時代を健かに、力強く生きた魅力的な女性の姿が必ずあります。おかみさんや女性を主人公に据えて、裏側から物語を描き直すことで、今を生きる女性の皆さんにも共感していただける「落語の新しい魅力」を伝えていきたい、というのが一つの大きな挑戦です。

木榑: 素晴らしいですね。お話を伺っていて、落語も群馬の文化も、すごく「サステナブル(持続可能)」だなと感じました。例えば、日本の伝統である畳や着物も、「そのままの形で使え」と頑なに守るだけでは、現代の生活から消えていってしまいます。でも、畳をモダンな名刺入れにしてみたり、伝統的な着物をアップサイクルして現代風のスカジャン(JOMO-JAN)にしてみたりと、形を変えることで「古いものの良さ」に改めて気づくきっかけになりますよね。

つる子師匠の新作落語は、まさにそれと同じです。「上毛かるた」という親しみやすい入り口があるからこそ、若い人たちが「落語って面白いじゃん!」と興味を持ち、やがて古典落語の奥深さに触れるきっかけになる。変化を恐れないからこそ、伝統が未来へ残っていくんだと確信しました。

つる子: 本当にそうですね!新しいアプローチをすることで、逆に元々あるものの良さが際立つ。落語と群馬の文化には、そんな不思議な共通点があるのかもしれません。

自分にしか作れない新作落語として取り組んだ『上毛かるた』という噺も、まさにそうです。群馬県民なら誰でも知っているけれど、一歩県外に出ると誰も知らない(おまけに内容がちょっと独特で面白い!)。これって絶対に笑いに繋がるし、誇るべき群馬の文化だなと思ったんです。この落語を通して、全国の皆さんに群馬や上毛かるたの魅力を知っていただけるようなきっかけを作りたいと思っています。

「発信のフェーズ」を迎えた群馬。計り知れないポテンシャル

木榑: 私たちが運営する『KING OF JMK(おとな達の上毛かるた大会世界一決定戦)』も含め、いつも群馬のローカルカルチャーを応援していただきありがとうございます。師匠から見て、今の群馬の盛り上がりや今後の可能性をどう感じていらっしゃいますか?

つる子: 群馬のポテンシャルは、もう計り知れないものがあると思っています!今、ものすごく勢いづいていますよね。

これまで県民がフツフツと温めてきた地域の魅力が、どんどん外に溢れ出てきているのを感じます。最近テレビなどのメディアでも、群馬の話題を頻繁に耳にするようになりました。例えば高崎のパスタ文化も、地元の皆さんがやり続けたことで、今や全国区のブランドになりました。やり続ければ、必ず日の目を見る。そんな意識が県民の間にも広がり始めている気がします。

『KING OF JMK』も、今や応募が殺到するほどの一大イベントですよね。先日も「群馬県デジタルパスポート」のLINE抽選にアクセスが集中してシステムが一時ストップしたというニュースがありましたが、そんなことでアクセスが殺到するなんて、全国を探しても群馬県民くらいですよ(笑)。

木榑: 群馬の人の「群馬愛」は、ちょっと異常なほど熱いですからね(笑)。

つる子: そうなんです!群馬の人はおもてなし精神が強くて、外から来た人をすごく大切にします。自分たちが大好きな「群馬のいいもの」を、もっとたくさんの人に知ってもらいたいというエネルギーが根底にある。

これまでは、その素晴らしい魅力が外にうまく伝わっていなかっただけなんです。いよいよ今、群馬は「内側に秘めていた魅力を、一気に外へ出すフェーズ」に来ています。私も落語を通じて、その勢いをさらに後押ししていきたいです。

35市町村すべてに落語を届ける挑戦。『上州事変』にかける覚悟

木榑: 最後に、これからの真打の道を突き進むにあたっての今後の展望、そして群馬のファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

つる子: 挑戦したいことは数え切れないほどあります。私自身、何かに挑戦している人の姿からいつも大きなパワーをいただいているので、自分自身も生涯、挑戦者であり続けたいです。

その大きな挑戦の一つが、群馬県出身の若手落語家4人で結成したユニット『上州事変(じょうしゅうじへん)』での活動です。2018年の群馬県民の日に前橋からスタートしたこの試みですが、今年の8月9日に開催される片品村での公演で、いよいよ「21箇所目」を迎えます!

群馬県には35の市町村がありますので、ようやく折り返し地点を過ぎたところです。ここまでの道のりは決して平坦ではなく、コロナ禍に見舞われたり、イベント開催に不慣れな市町村の皆さんと手探りで準備を進めたりと、大変な時期もありました。ですが、みんなで力を合わせて21まで来ることができました。諦めることなく、必ず35市町村すべてを回り切りたいと思っています。

この活動は、落語を通じて群馬の魅力を再発見し、発信していくための挑戦でもあります。ありがたいことに、私たちの会をきっかけに、県外から群馬の各地域へと足を運んでくださるお客さまも少しずつ増えてきました。私たちがSNSや高座を通じて各地域の魅力を発信することで、地域に恩返しをしていきたいです。

木榑: 35市町村すべてを分かち隔てなく、みんなで盛り上げていく。それは、私たちが『情報ぐんま』を立ち上げた動機と全く同じです。情報量の多い少ないに関わらず、すべての地域にある素晴らしい魅力を特派員と一緒に拾い上げ、届けていく。つる子師匠の『上州事変』の挑戦と、ぜひどこかで手を取り合って、一緒に群馬を盛り上げていけたら嬉しいです。

つる子: ぜひ、よろしくお願いいたします!みんなで力を合わせて、群馬をどんどんおもしろくしていきましょう!

(取材日:2026年7月3日、群馬県庁NETSUGENにて)

【編集後記】

つる子師匠、お忙しい中での熱いインタビュー、本当にありがとうございました。 お話を伺う中で最も胸を打たれたのは、群馬県内35市町村すべてを回る落語会『上州事変』へかける、並々ならぬ覚悟と情熱です。

現在、35市町村のうち21箇所での開催を達成され、いよいよ後半のフェーズへと突入しています。しかし、残る14の町村の中には、情報が集まりにくかったり、イベント開催のノウハウが少なかったりと、単独での開催にハードルを抱えている地域も少なくありません。

誰かが「ファーストペンギン」として道を切り開かなければ、地域の文化や魅力は外へと繋がっていかない――。

だからこそ、まだ『上州事変』が訪れていない地域の自治体関係者の皆様、そして地元を盛り上げたい企業の皆様、ぜひこの素晴らしい挑戦に手を貸していただけないでしょうか。地域の皆様と『上州事変』がタッグを組むことで、そこには間違いなく新しい笑顔と活気が生まれます。

私たち『情報ぐんま』も、35市町村を分け隔てなく応援するメディアとして、広報やアナウンス、現地のネットワーク構築を含め、全力でこの『上州事変』の挑戦をバックアップし、一緒に汗をかいていく所存です。群馬の未来を、みんなで一緒に、もっとおもしろくしていきましょう!

【林家つる子師匠・プロフィール】

林家つる子/落語家
群馬県高崎市出身
高崎私立片岡小学校、片岡中学校卒業
群馬県立高崎女子高等学校卒業
中央大学卒業
ぐんま特使/群馬の地酒大使/嬬恋村キャベツ大使/高崎アンバサダー

2010年9⽉九代林家正蔵に弟⼦⼊り2015年11⽉⼆ツ⽬に昇進
2019年9⽉第11回前橋若⼿落語家選⼿権優勝
2021年3月第20回さがみはら若手落語家選手権優勝
2021年11月NHK新人落語大賞決勝戦進出
2022年9月第33回北とぴあ若手落語家競演会奨励賞
2022年10月NHK新人落語大賞決勝戦進出
2024年3月 落語界で女性初となる抜擢真打昇進を果たす
2025年11月 第42回浅草芸能大賞新人賞受賞

メディア出演
日本テレビ「真相報道バンキシャ!」コメンテーター
BSフジ「日本一ふつうで美味しい植野食堂」ナレーション
TBSラジオ「〜東京042〜多摩もりあげ宣言」
FM GUNMA「林家つる子のTalk to」
ラジオ高崎「Air Place」

古典落語の滑稽噺から人情噺、新作落語にも取り組み、新しい挑戦にも意欲的で、古典落語「芝浜」や「子別れ」「紺屋高尾」の登場人物であるおかみさんや花魁を主人公にし、その視点から古典落語を描く挑戦は、NHK総合「目撃!にっぽん」、日本テレビ「NEWS ZERO」、「文藝春秋」等、各種メディアに取り上げられた。
群馬県内では、地元出身の落語家四人による、群馬県内全35市町村を巡り落語会を開催する「上州事変」の活動などがある。現在20市町村での公演達成中。2026/8/9には21市町村目となる片品村での公演が予定されている。
そのほか、上毛かるたを題材とした「JOMO」という新作落語を創作し、上毛かるたの普及に努めている。
今後のスケジュールは、林家つる子師匠公式Webサイトにて更新中。
公式Web https://tsuruko.jp

●上州事変
X https://x.com/joshujihen
Instagram https://www.instagram.com/joshujihen?igsh=MWZwM25sNmh6ajB5eA==
HP https://www.joshujihen.com/

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