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群馬の風景が、いま全国のスクリーンや画面を席巻している。 映画やテレビドラマのロケ地として「また群馬だ!」「また高崎が映った!」とエンタメファンの間で話題になる機会が劇的に増えているのだ。
近年だけでも、日本中で社会現象を巻き起こした映画『東京リベンジャーズ』シリーズの大規模な廃車場バトルシーンや、圧倒的な世界観で若者を熱狂させた『HiGH&LOW』シリーズ(山王街など)、さらには海外作品である『SPIRIT WORLD』のロケ地として、高崎の街や数々のスポットが重要な舞台として選ばれている。
この強力な流れを裏で牽引しているのが、高崎フィルム・コミッション(高崎FC)だ。 今回は、同コミッションの山藤 堅志(やまふじ けんじ)氏にインタビューを敢行。一過性の「バズ」で終わらせない持続可能な地域PRのあり方と、地元の熱量を活かした未来の「共創」について話を伺った。



■ 年間200件の依頼から「映像の完成形」を創り出す圧倒的経験値
――近年、『東京リベンジャーズ』や『HiGH&LOW』、そして海外作品の『SPIRIT WORLD』にいたるまで、国内外の重要作のロケ地として高崎が選ばれ続けています。これほどまでに多くの撮影隊(制作陣)を引きつける、高崎フィルム・コミッションならではの「強み」や「他地域との違い」はどこにあるのでしょうか?
山藤氏: 「ありがないことに、現在は年間200件以上のロケ依頼が届きます。その中から、実際に私たちが形にしているのは約50件ほどです。
私たちが大切にしているのは、単に『空いている場所を案内する』という仲介業務ではありません。制作陣からシナリオをいただいた段階で、『ここで撮ったら、こういう映像(画)になる』という完成形のイメージを、僕たちの頭の中で先回りして創り出すんです。これまでに積み上げてきた圧倒的な経験値があるからこそ、『それなら、あの場所のあの角度がベストです』とクリエイティブな提案ができる。この打率の高さと提案力が、国内外の制作陣からの信頼に繋がっているのだと思います」



■ 「あえて全部は言わない」余白が育む、持続可能な聖地巡礼
――大ヒット作や国際的な作品になればなるほど、ロケ地を訪れるファン(聖地巡礼)による地域の盛り上がりは凄まじいものがあります。一過性のブームで終わらせず、地域の本質的な価値や愛着に繋げていくための工夫はありますか?
山藤氏: 「ファンの皆さんがロケ地を訪れて、地域が盛り上がってくれるのは本当に嬉しいことです。ただ、僕たちのスタンスとして『あえて公式から全部は言わない』ということを意識しています。
すべてをお膳立てして『ここがロケ地です!』と過剰にアピールしてしまうと、消費されてすぐに飽きられてしまう。そうではなく、ファン自らが作品を観て『ここかもしれない』と見つけ出す楽しみ(余白)を残しておくんです。自分で探して、気づいて、ようやく辿り着いた場所だからこそ、そこへの愛着は深くなる。SNSでの自発的な発信にも繋がり、結果として一過性のブームに終わらない、長く愛される『聖地』として地域に価値が残り続けるのだと考えています」



■ 華やかなエンタメを支える、徹底した「現場主義」のリスク管理
――国内外から集まる大人数のキャストや、大規模な撮影をスムーズに進めるためには、行政や地元企業、そして何より地域住民の皆様の協力が不可欠です。街全体を巻き込み、当事者になってもらうために心がけていることはありますか?
山藤氏: 「ロケ撮影というのは、地域住民の皆様にとっては騒音や通行止めといった『日常の制限(リスク)』を伴うものでもあります。だからこそ、僕たちは徹底した『事前の現地調査』と『問題点の洗い出し』を泥臭く行います。
問題が起きてから対処するのではない。何が起きるかを予測して未然に防ぐ。現場周辺への丁寧な事前説明や配慮という、一見エンタメの華やかさとは真逆の泥臭い仕込みを徹底するからこそ、地域の皆様との信頼関係が生まれます。この信頼の土台があるからこそ、住民の皆様も『また応援しよう』と当事者意識を持って、温かく撮影隊を迎え入れてくれる街の空気が作れるんです」



■ メディアとフィルム・コミッションの「共創」が切り拓く、新しいファンづくりの形
――今回、山藤さんのお話を伺って、私たちが運営するウェブメディア『情報ぐんま』(月間25万PV)としても、単なる『ロケ地紹介』を超えた新しい共創ができるのではないかと強く感じました。
木榑(情報ぐんま): 「山藤さんたちが徹底されている事前のリスク管理や現場へのリスペクトを理解した上で、作品のルールや守秘義務をしっかり守れる『質の高いエキストラ・特派員(サポーター)』を、群馬愛の強い弊誌の読者から募って組織化する。それにより、現場の手間やリスクを減らす盾になれるのではないかと考えています。
さらに、山藤様がおっしゃった『あえて全部を言わない楽しさ』を活かし、情報ぐんまのメディア力を活かして、映画公開時にヒントだけを散りばめた『ロケ地探訪のストーリー記事』を企画する。募集(参加) ➔ 撮影(体験) ➔ 公開(聖地巡礼)までを一本の線で繋ぐことで、参加した県民は一生モノの非日常体験を得て、公開後には何度も高崎に足を運ぶコアなリピーターへと育っていきます。こうした『撮影前から始まる、メディアと連動したファンづくり』について、可能性をどのように感じられますか?」
山藤氏: 「それは非常に面白い試みですね。僕たちだけでは手が回らない『撮影前後のファンとの継続的なコミュニケーション』や『ストーリーの発信』を、熱量のあるローカルメディアが伴走してくれるというのは、とても心強いです。記号的な人集めではなく、映画づくりを通じて地元のプレイヤーや県民の皆様が繋がっていくような、そんな新しい『地域共創の形』をぜひ一緒に仕掛けていきたいですね」
【取材を終えて:情報ぐんまの視点】
高崎フィルム・コミッションの強さは、場所の魅力以上に、山藤氏をはじめとするスタッフの「クリエイティブへの深い理解」と「地域への徹底的な誠実さ」にあると確信した。
ただ話題(バズ)を作るのではない。ファンに「気づく喜び」の余白を残し、地域を守りながらエンタメの力を街の資産に変えていく。この本質的なマーケティング思想を共有しながら、「情報ぐんま」もエキストラ募集や聖地巡礼の動線づくりを通じて、群馬の未来を共に創る(共創する)頼もしいパートナーであり続けたい。
(高崎フィルム・コミッション 公式サイト:https://www.takasaki-film.jp/)